「今はそれなりにお客さんがいるから大丈夫」という状態でも、何も手を打たなければ、顧客リストは1年、2年と時間が経つにつれて少しずつ減っていきます。
顧客との取引関係は永久に続くものではありません。出会いもあれば別れもある。顧客リストには常に出入りがあります。出入りのない顧客リストは存在しないのです。
では、どこにどんなアプローチをすればいいのか。私自身の税理士事務所についての実践について解説します。
第1層:潜在顧客(まだ自分のことを知らない人)
最初の層は、自社の存在をまだ知らない人です。どんなに良いサービスを持っていても、知ってもらわなければ選んでもらえません。この層へのアプローチが「広告・集客活動」にあたります。
私の事務所では主に、ホームページへの記事掲載、YouTube動画の配信、Googleマップへの口コミ掲載の3つを使っています。ホームページには週2本のペースで記事をアップしており、そのホームページ記事を台本代わりにしてYouTube動画を撮影・配信しています。
Googleマップの口コミについては、初回の無料面談を受けていただいた方に、面談後に口コミ投稿をお願いするようにしています。口コミが増えることで、検索で見つけてもらいやすくなります。
この潜在顧客層へのアプローチは、すぐに効果が出るものではありません。種をまいておいて、忘れた頃にようやくぽつりぽつりと問い合わせが来る、という感覚です。だからこそ、日頃からコツコツと続けることが大切です。
第2層:見込み顧客(知っているがまだ依頼していない人)
2番目の層は、こちらの存在は知っているけれど、まだ仕事を依頼するに至っていない人です。一度面談をしたものの、その後に契約になっていないというケースが典型です。
面談まで来ていただいた時点で、ある程度の興味関心は持っていただいています。では何が障壁になっているのか。サービス内容への疑問なのか、料金への不安なのか、それとも別の要因なのか。これは個別に確認しなければわかりません。
私の事務所では、こうした見込み顧客の方とは公式LINEでつながっています。一斉送信ではなく、個別のLINEメッセージでやり取りし、契約に踏み切れない理由を丁寧に聞くようにしています。その理由が解決できるものであれば、一緒に考えることができます。
相手によって事情はさまざまです。「今は時期が合わないだけ」という方もいれば、「他事務所が値引きしてきた」という方もいます。金額面で合わない場合は仕方がありませんが、時期だけの場合は、焦らずに相手の状況に合わせてつながりを維持することが大切です。
第3層:現在の顧客(今まさに取引がある人)
3番目の層は、現在進行形で取引のある顧客です。税理士事務所の場合、毎月関与か年1回の関与かという違いはありますが、基本的には継続的な関係が中心です。
この層に対しては、税理士事務所としての通常業務を丁寧に提供することがそのままアプローチになります。定期的にこちらから連絡を取り、必要な情報を届け、信頼関係を深めていく。これが継続契約の土台になります。
業種・業態によっては、この層をさらに細かく分けることも有効です。初めて購入した新規客、2〜3回取引のある既存客、定期的に利用してくれるリピーター客というように、購入頻度や関係の深さで分類し、それぞれに合ったアプローチを設定することで、顧客満足度と継続率が上がるかと思います。
第4層:過去の顧客(以前に取引があった人)
4番目の層は、かつて取引があったが今は関係が止まっている顧客です。過去の顧問先や、単発で仕事を受けた相手がここに当たります。
マーケティングの基本として、新規顧客の獲得はコストも時間もかかります。
一方、過去に取引があった相手への再アプローチは、お互いをすでに知っているぶん、その難易度は下がると言われています。表現として少し・・・ですが、元交際相手と復縁するようなイメージでしょうか?
私の事務所では、過去の顧客の方に半年に1回程度、LINEで近況報告を送るようにしています。トラブルが原因で離れた方への連絡はしませんが、そうでない場合は再度つながれる可能性が十分あります。
一度自分のサービスを体験しているぶん、改めて依頼していただける確率は、まったくの初対面より高いはずです。
業種によっては、LINEだけでなく郵便物の送付や直接訪問という手段も有効です。自社の状況に合わせて、この層へのアプローチ頻度や手法を考えてみてください。
4つの層を意識するだけで、集客の見方が変わる
今の顧客数に満足していると、どうしてもアプローチが止まってしまいます。
しかし顧客は必ず入れ替わります。1か月2か月では目に見えなくても、1年2年と経てば確実に変化が出てきます。残念ながら確実に減ります。(とりあえず手あたり次第に手を出せば増えてはいきますが・・・)
顧問先が1件減ったからといって、急いで新規獲得に動いても遅いことが多いのです。
日頃から4つの層それぞれに対して、無理のない範囲でアプローチを続けておくことが、顧客リストを長期的に維持するための方法だと感じています。
今回ご紹介した内容を実践したからといって、今すぐ顧客が増えるわけではありません。
でも、何もしなければ確実に減っていく。そのことを意識しながら、日々の発信や個別連絡を積み重ねていくことが、顧客リストを管理するうえで大切なことではないかと思います。
