新しく事業を始めたり、新しい店舗を出店する際に、新事業を始めるかどうか、新しい店舗を出すかどうかという判断を経営者はします。
この時に「なんとなくいけそう」、「前の店舗出店の経験からいけそう」、そういった感覚的な判断をしてないでしょうか。
今回の記事は、新規事業や新店舗の出店に判断に必要な最大売上のシミュレーションの考え方をご紹介します。計算する
全ての制約条件がなかったものと仮定して、最大の売上金額を計算する
まず最初に計算するのは、その新事業、新店舗の最大値の売上を計算するということです。
座席数、スタッフ数、営業時間、これらについて、全て最大値の数値で計算した上で、1ヶ月あたりの売上がいくらになるかという仮定の計算をします。
例えば飲食店だと、テーブル席、カウンター席が全て埋まっている状態と仮定して、スタッフもホールの状況として入れる最大の人数を仮定します。
そして店舗の開店から閉店まで、全時間にお客さんが座っていたと仮定した場合、それで1日の売上はいくらになるか?それに1ヶ月の最大営業日数をかけて1ヶ月の売上はいくらになるか?を計算します。
この数字は「現実には達成できない理論の数値」ですが、しかし、この理想の数値を計算することに意味があります。
最大値に対して経費を当てはめる
最大売上が出たら、次は経費を計算します。
家賃・人件費・原材料費・光熱費など各経費を集計します。
また、新事業、新店舗の出店で借り入れをする場合は、その借り入れ返済の資金についても考慮します。
そしてこれらを計算した上で、理論上出てくる最大の利益がいくらになるのかを計算します。
もしこの理論上出てくる最大の利益の数値が予想以上に悪い場合は、その新事業や新店舗についてはうまくいかないという可能性が非常に高いということになります。
もうこれ以上良い条件がないという環境の下で仮に営業した場合の数値ですので、裏を返せば、これ以上の数値は絶対に出ないということです。
感覚的になんとなくいけそうというふわっとしたものではなくて、具体的な数値としてどれぐらいの金額になるのかということを、新規事業開始前、新店舗出店前に先に確認するということです。
現実は3つのプランで考える
理論上の最大値の計算ができたら、次は具体的な数字に落とし込んでいきます。
プランとして主に3つのプラン準備します。
1つ目のプランは、楽観視した場合のプランです。
2つ目のプランは、現実的な数値のプランです。
3つ目は、うまくいかなかった場合のプランです。最悪でもこれぐらいの売上は硬いだろうという数値です。
この3つのプランについてそれぞれ利益がいくらになるのか、損益分岐点がどこにあるのか、3つのパターンを比較しながら計算していきます。
経営の判断というのは、会社やお店によって様々だと思いますが、私個人的には、この3つ目のうまくいかなかったパターンであったとしても、最低限の数値が残せるという状態でないと、新事業であったり、新店舗のゴーサインは出さない方がいいというふうに考えています。
撤退ラインを事前に決めておく
新事業や新店舗の出店において、最も大切なのが、撤退ラインを事前に決めておくということです。
1ヶ月の売上が、連続してこのラインを下回ったら撤退をする。
赤字が何ヶ月続いたら店舗の閉鎖を検討する。
手元資金がいくらに減ったら撤退する。
これらを新規事業前、開店前に計算しておくことで、仮に事業がうまくいかなかったとき、いつ、どのような判断をするのかというのが明確になります。
撤退の判断が遅れると、意思決定がズルズルと後回しになり、もう少し待てば回復するかもしれないという根拠のない誤った判断をしてしまう可能性があります。
手元資金が多くあれば、一度撤退した後に再度勝負することができますが、撤退の判断が遅れてしまうと、その手元資金が少なくなってしまい、再度勝負することができなくなってしまいます。
次に勝つために今回は逃げるという判断も、長丁場の経営においては必要なことではないでしょうか?
取らぬ狸の皮算用で事業や店舗を始めていないか?
新事業・新店舗の計画は、
どうしても見通しが甘くなりがちです。
「このエリアなら集客できる」
「前の店と同じようにやれば売れる」
「最初は苦しくても、あとで盛り返せる」
こうした楽観的な前提でシミュレーションをすると、
数字は都合よく動いてくれます。
しかし現実は、想定より厳しいことの方が多いです。
最大値から始めて、現実的な掛け率で落とし込み、
最悪のケースでも資金が何か月もつかを計算する。
この順番で考えることで、
過度な楽観を排除できます。
最終的な判断は経営者が下す。だから数字が必要
シミュレーションをどれだけ精緻にやっても、
新事業に100%の保証はありません。
最終的に「やる・やらない」を決めるのは、
経営者自身です。
だからこそ、数字が必要です。
「なんとなく行けそう」「経験的にいける」
という判断と、「最大値で試算した、現実的には7掛けで考えると
損益分岐点は月商120万円、手元資金は2年で底をつく」という判断は、
同じ決断でも意味が違います。
経営の判断には感情を入れてはいけません。あくまでも数字でロジカルに判断するものです。
ビジネスの起点は、経営者の思い入れだったり、情熱からスタートしますが、感情だけでの判断は必ず失敗します。
新事業の立ち上げや新店舗を検討しているなら、まずは最大値のMAXの売上から計算してみてください。その数値が経営の判断の土台となります。
