Creemaクリエイターが見落としがちな「仕掛品」の棚卸について

少し前にCreema(クリーマ)というプラットフォームで事務所の観葉植物を購入しました。

Creemaでは様々なクリエイターの方々がご自身の作品を出品されており、職業柄興味本位でCreemaのHPを眺めていました。

そこで少し気になったのが、仕掛品についての処理は皆さんきちんと処理できているのかな?という点です。

Creemaで作品を販売しているデザイナーの方は、年末に棚卸しをするかと思います。

しかし「まだ使っていない材料を数えればいい」と思っている方が多く、仕掛品の計上を忘れているケースが少なくありません。

この記事では、仕掛品とは何か、なぜ計上する必要があるのか、どう金額を計算するのかを整理します。

目次

仕掛品とは何か?

仕掛品とは、材料を使って作品を作っている途中のもの、つまり「作りかけの作品」のことです。

年末時点で手元にある在庫には、大きく3種類あります。まだ手をつけていない材料(原材料)、完成していて販売できる状態の作品(製品)、そして作りかけで年末を迎えた作品(仕掛品)です。

棚卸では、この3つをすべて在庫として計上する必要があります。「材料は残っていないから在庫ゼロ」と判断してしまいがちですが、材料が作品の途中の形に変わっているだけで、売れていないので売上原価には含まれません。

仕掛品を計上しないと何が起きるか?

材料購入時に仕入として経費計上しますので、仕掛品を棚卸に含めないと、その分の材料費がすべて今年の経費として計上されることになります。

本来であれば、材料費のうち「まだ売れていない作品に使った分」は今年の経費にはなりません。

作品が売れたときに初めて売上の原価として経費になります。

仕掛品を計上しないまま決算すると、経費が多くなり所得が本来より小さくなります。

つまり、納付する税額が正しい金額より少なくなってしまいます。

この状態で税務調査が入ると、棚卸の計上漏れとして指摘される可能性があります。

仕掛品の金額はどう計算するか?

仕掛品の金額は、その作品に投入した材料や消耗品の「原価(仕入れ値)」の合計で計算します。

販売予定価格(売値)ではなく、原価で計上する点に注意が必要です。

たとえば、アクセサリーを作りかけで年末を迎えた場合を考えます。

材料Aの原価が200円、材料Bの原価が300円、材料以外に使った消耗品Dの原価が100円とすると、その作品1点あたりの仕掛かり品原価は600円です。

同じ作りかけの作品が5点あれば、600円 × 5点 = 3,000円が仕掛品として棚卸に計上する金額になります。

材料費だけでなく消耗品についても、その作品に使った分を原価に含めることが理想です。細かく計算するのが難しい場合は、主要な材料費の合計だけでも計上しておくことが大切です。

「材料の棚卸だけすればいい」という誤解

クリエイターの方は「手元材料の材料を数えておけば棚卸は終わり」ではありません。

棚卸に含めるべきものは、未使用の材料(原材料)だけでなく、完成品(製品)と仕掛品も含みます。

材料から作品に姿が変わっていても、売れるまでは在庫として手元に存在しています。

特に年末の時期は、クリスマス向けの作品を複数制作していたり、年明けに販売予定のものが手元にあるというケースが多いはずです。

そうした作りかけの作品は仕掛品として、完成して手元にある作品は製品として、それぞれ棚卸に含めてください。

翌年に作品が完成・販売されたときの処理

仕掛品として年末に計上した金額は、翌年に作品が完成して売れた時点で「売上原価」として経費になります。

つまり、今年の棚卸に含めた仕掛品の金額を、来年の売上から引ける原価として繰り越す必要があります。

複式簿記で処理している場合は棚卸資産の残高チェックで気付きますが、単式簿記(収支計算書)で申告している場合は、この繰り越しを手動で管理する必要があります。

前年に仕掛品を棚卸しで計上したにもかかわらず、翌年の売上から差し引くのを忘れると、翌年の所得が本来より大きくなってしまいます。

今年計上した仕掛品の金額は、棚卸表などで必ず記録しておき、翌年の申告時に参照できるようにしておいてください。

別の場所に置いてある在庫ごっそり抜け落ちていないか?

棚卸で多いミスが、「目の前にあるものしか数えない」ことです。

材料は自宅の作業部屋にあるが、完成品や仕掛品は別の部屋に置いているというケースがあります。

また、保管スペースの都合で貸倉庫や外部の収納施設に保管している場合、そのままごっそり抜け落ちてしまうことがあります。

在庫の場所がどこであれ、年末時点で自分が所有しているものはすべて棚卸資産です。

材料・仕掛品・完成品を置いている場所をあらかじめリストアップしておき、棚卸時に漏れなく確認できるようにしておいてください。

実店舗に預けている作品も棚卸資産になる

Creema以外にも、カフェやセレクトショップなど実店舗のスペースを借りて作品を置いてもらっているクリエイターも多いかと思います。

この場合、作品は手元を離れていますが、まだ売れていなければ期末時点の棚卸在庫です。

年末時点で店舗に預けている未販売の作品は、手元にはなくても棚卸資産として計上する必要があります。

「他のお店に預けてある分」を棚卸しから外してしまうと、その分の原価が経費に入ったまま所得が小さくなってしまいます。

複数の販売チャネルを持っている場合は、年末前に各店舗の担当者に在庫数を確認するか、自分で預け先のリストと個数を把握しておく習慣をつけておくと、棚卸作業がスムーズになります。

年末に向けて確認しておくこと

秋のこの時期に年末の棚卸に向けて、在庫のある場所と種類を一度整理してみてください。

確認する在庫の種類は3つです。未使用のまま残っている材料(原材料)、完成していてまだ売れていない作品(製品)、そして、作りかけのまま年末を迎える作品(仕掛品)です。

この3つをすべて、置いてある場所を問わず合計したものが、年末時点での棚卸し資産の金額です。

在庫のある場所としては、自宅の作業部屋・別部屋・貸倉庫・預けている実店舗など、複数になることもあります。

場所ごとに在庫リストを作り、年末に一斉確認できる体制を今のうちに整えておくことをお勧めします。

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この記事を書いた人

竹岡良晃税理士。売上アップのパーソナルトレーナー税理士。中小企業の経営問題について、傾聴力を駆使して問題解決をサポートする活動を行っている。

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