陸上レースの賞金、税金はどうなる?プロ・実業団・アマチュア別に所得区分を整理する

近年、日本国内で賞金が出る陸上短距離レースが増えています。

短距離種目でも賞金付きの大会に出場する機会が生まれており、「この賞金、確定申告が必要なのか?」と疑問に思う選手も多いはずです。

この記事では、陸上選手の賞金が所得税法上どの所得区分に当たるのかを、プロ契約選手・実業団選手・一般選手の3つに分けて整理します。

目次

プロ契約を結んでいる選手は「事業所得」

プロ野球やJリーグのようにプロ契約を締結し、競技活動を事業として行っている選手の場合、賞金は事業所得になります。

レースに出場して賞金を稼ぐことで生計を立てており、スパイク・ウェア・遠征費・コーチ費用などすべてが必要経費として認められます。

ただし、日本の陸上競技においてプロ契約を結んでいる選手は現状では極めて少数です。

自身をプロと認識している選手は多くいますが、税法上の「事業所得」として扱われるかどうかは、プロ契約の有無や競技活動の実態によって判断されます。

「プロ意識を持って活動している」だけでは事業所得にはなりません。実態として、ほとんどの陸上選手は実業団所属または一般のアマチュア選手として扱われることになります。

陸上レースの賞金は「一時所得」ではなく「雑所得」になる

プロ契約を結んでいない選手が最も気になるのは、陸上レースの賞金は「宝くじや懸賞と同じ一時所得の扱いのになるのか?」という点です。

福引きの賞金、競馬の当たり馬券などは「一時所得」として扱われます。

これらは自分が特別な行為をしなくてもたまたま当たった、いわば棚ぼた的な収入です。

所得税法では一時所得は「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質を有しない一時の所得」と定義されています。

陸上レースの賞金は、この定義に当てはまりません。

選手は日々トレーニングを重ね、遠征し、レースに出場するという役務の行為の結果として賞金を得ています。

たまたま賞金を獲得したレースが年に1回だけであっても、意図的に出場して獲得した賞金は「偶発的・棚ぼた的」とは言えません。

そのため、陸上レースの賞金は原則として「雑所得」として扱われます。

実業団選手は「給与所得+雑所得」の組み合わせ

企業の実業団チームに所属している選手は、会社から給与を受け取っています。この給与は給与所得です。年末調整を会社が行うため、給与だけであれば確定申告は不要です。

問題は、レースで賞金を得た場合です。賞金が雇用契約上会社に帰属するケースでは、選手個人の所得にはなりません。一方、賞金が個人に帰属する場合は雑所得として申告が必要になります。

給与所得者が給与以外の所得を得た場合、その所得が年間20万円を超えると確定申告が必要です。

実業団選手が賞金を個人で受け取り、その賞金から必要な経費を引いた金額が20万円を超えた年は、確定申告をする必要があります。

20万円以下であれば確定申告は不要ですが、住民税の申告が別途必要になる場合があります。

実業団に所属しない選手は「雑所得」で確定申告

実業団に所属していない選手、フリーで活動している選手の場合、レースの賞金は雑所得として扱われます。

アルバイトや別の仕事と掛け持ちしている選手は、賞金収入と他の収入を合算して確定申告することになります。

雑所得の計算:賞金から引ける経費は何か?

雑所得の計算式は「賞金収入 − 必要経費 = 雑所得」です。

必要経費として認められやすいのは、大会のエントリー費用、レース会場への交通費(電車・バス・飛行機)、遠征時の宿泊費です。

一方で、スパイクやジャージなどのウェアについては、一般的には経費として認められないかと思われます。

スパイクやジャージなどについては、試合当日だけではなく、普段の練習時から身につけているものになります。

税金の世界では、基本的に普段から身につけられるようなものについては、経費として認められません。

仮にあるスパイクを、その大会当日1日だけ使用するというのであれば、また話は変わってくるのかもしれませんが、基本的にそんな選手はいないはずです。

また、ジムの月会費やプロテイン代などは、収益を得るために直接必要かどうかの説明が難しく、経費として認められないケースが多いです。

賞金を得たら書類保存、記録を残しておく

賞金については、支払調書の発行対象となっていますので、誰にいくら賞金を支払ったのか?という情報は税務署側が把握しているという事です。

恐らくレースで賞金を受け取った選手側は、この支払調書の控えを受け取っているはずです。(私自身は賞金が出るようなレースで出た経験もないので、実際にどのようなやり取りをしているのか?は見たことありませんが。)

支払調書の控えは確定申告の際に収入金額の証明になるため、保管しておきましょう。

また、遠征費や用具費の領収書・レシートも、申告時に必要経費として使えるよう保管しておくことが大切です。

賞金が少額であっても「申告しなくていい」と判断する前に、他の収入との合算額を確認してから判断することをお勧めします。判断に迷う場合は税理士に相談してください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

竹岡良晃税理士。売上アップのパーソナルトレーナー税理士。中小企業の経営問題について、傾聴力を駆使して問題解決をサポートする活動を行っている。

目次