鉄くず、まかない計上してる?


目次

税務調査で必ず確認される「収益の計上もれ」チェックリスト

はじめに:「少額だから大丈夫」は通用しない

税務調査が入ったとき、調査官が必ずといっていいほど確認するのが「収益の計上もれ」です。売上はきちんと計上しているつもりでも、意外と見落とされているのが副次的に発生する収益や現物支給に伴う給与課税の問題です。

「たいした金額じゃないから」「現金でもらったから」「昔からそうしてきたから」――こうした理由で処理されていないケースが、実際の調査現場では数多く見受けられます。少額であっても、調査官の印象は悪くなります。

今回は、特に製造業・建設業・飲食業の事業者様に向けて、税務調査で頻繁に指摘される計上もれのポイントを解説します。


1. 鉄くず(鉄屑)の売却収入

よくある場面

製造業・建設業・解体業などを営む事業者が、工場や現場から出る鉄くず・切粉・廃材を回収業者に引き渡し、その対価を受け取る――これはよくある日常業務の一コマです。

しかし、この鉄くずの売却代金が帳簿に計上されていないケースが、税務調査でたびたび問題になります。

なぜ計上もれが起きるのか

  • 現金や振込でそのまま現場担当者が受け取り、経理部門に報告されない
  • 「廃棄物を処分してもらっているだけ」という認識で、収入とは思っていない
  • 金額が少額なため、記帳の手間を省いてしまっている
  • 長年の慣行として、計上せずに済ませてきた
  • 受取額を当日の飲み会などに使ってしまうので、跡が残らず記帳されない

税務上の取り扱い

鉄くずの売却収入は、事業に付随して発生する収益であり、雑収入(または売上)として計上しなければなりません。たとえ1回数千円の取引であっても、年間を通じた合計額が問題になります。

ポイントまとめ

  • 鉄くず・切粉・廃材の売却代金はすべて収益計上が必要
  • 現金受け取りでも同様。領収書・受取書を必ず保存する

2. まかない(賄い)の現物給与課税

よくある場面

飲食業の事業者が従業員に食事を提供する「まかない」。「うちの店は当然やっている」という事業者様は多いのですが、税務上の要件を満たさずに処理されているケースが非常に多く見受けられます。

税務上の要件:非課税になる条件

従業員に食事(まかない)を提供する場合、以下の両方の要件を満たせば、給与として課税されません(所得税法上の非課税扱い)。

  1. 従業員が食事代の半額以上を負担していること
  2. 会社の負担額が月額7,500円(税抜)以下であること

この2つの要件を満たさない場合、会社が負担した食事の価額は**従業員の給与(現物給与)**として扱われ、給与課税の対象となります。

よくある問題パターン

パターン問題点
まかないを完全無料で提供している従業員負担ゼロ=全額が現物給与
一部負担させているが月7,500円超超過分が現物給与
賄い費用を食材費に混ぜて処理している給与課税の把握ができていない
社長・役員も無料でまかないを食べている役員報酬の問題にもつながる

指摘されるとどうなるか

まかないが現物給与と認定された場合、従業員の源泉所得税の追徴が発生します。事業者側は源泉徴収義務者として、未徴収・未納付の源泉税を納付しなければならず、不納付加算税や延滞税も加わります。

ポイントまとめ

  • まかないを非課税にするには「半額以上の自己負担」かつ「会社負担7,500円以下/月」の両方が必要
  • 負担額の計算・記録を毎月きちんと行う
  • 無料提供は原則として全額が現物給与

3. 同様に見落とされやすい「計上もれ」項目

鉄くずとまかない以外にも、税務調査で頻繁に指摘される計上もれ・処理もれがあります。自社に該当するものがないか確認してみてください。


① 廃材・段ボール・アルミ缶などの売却収入

鉄くずと同様に、段ボール・アルミ缶・古紙・廃プラスチックなどの売却収入も、雑収入として計上が必要です。飲食業・小売業・製造業など業種を問わず発生しうるため、注意が必要です。


② 自動販売機の設置収入(手数料収入)

事務所や工場に自動販売機を設置し、飲料メーカーから手数料(コミッション)を受け取っているケースがあります。この収入も雑収入として計上が必要ですが、見落とされていることが多い項目です。


③ 棚卸資産の家事消費・自家消費

飲食業や農業、小売業において、仕入れた商品や食材を事業主や家族が個人的に消費することを「家事消費(自家消費)」といいます。この場合、消費した時点で売上または雑収入として計上する必要があります。

「店の食材を家でも使う」「農家が自分で作った野菜を家族で食べる」なども対象となり、仕入れ値または通常販売価格の70%のいずれか高い方が収入金額の目安とされています。


④ 従業員への社宅・住宅提供

会社が従業員に社宅や社員寮を提供する場合、一定の賃料相当額(通称「適正家賃」)を徴収しなければ、その差額が現物給与となります。適正家賃の計算は家賃の50%か固定資産税評価額を基に算出します。

あとは会社名義で社宅を借りているか?はポイントです。社員が直接契約して借りた場合は社宅扱いになりませんので注意です。


⑤ 社用車の私的利用

会社名義の車両を従業員や役員が通勤・私用に使っている場合、その利用相当額は現物給与となりえます。特に役員の場合は役員賞与として認定されるリスクがあり、損金不算入となる可能性もあります。

通勤や出張以外での社用車の使用をしないように、従業員や役員への通知が必要です。


⑥ 保険金・補助金・助成金の計上もれ

火災・災害等で受け取った保険金や、国・自治体からの補助金・助成金は、受取時に雑収入として計上する必要があります。「返さなくていいお金だから収入ではない」という誤解が多い項目です。

4. 税務調査官はここを見ている

鉄くず収入の計上をしているかどうか?は鉄くずが工場内にあることにより、調査官は気付きます。

決して帳簿を見て気付きということではありません・・・計上がもれているので、そもそも帳簿を見ても気付きませんよね。

調査では現場のあらゆるものを見て、本来計上すべきものが計上されているか?を確認されます。

5. まとめ:日頃の記帳習慣が税務リスクを下げる

今回紹介した計上もれは、いずれも「悪意があってやっている」というより、慣行や認識不足から生じているケースがほとんどです。しかし、税務調査において「知らなかった」「少額だった」という言い訳は通用しません。

日頃から以下の点を意識することが、税務リスクの低減につながります。

  • 副次的な収入も含め、すべての入金を帳簿に記録する
  • まかないや現物支給は、毎月の記録と徴収管理を徹底する
  • 不明な点は、都度税理士に確認する習慣をつける
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この記事を書いた人

竹岡良晃税理士。売上アップのパーソナルトレーナー税理士。中小企業の経営問題について、傾聴力を駆使して問題解決をサポートする活動を行っている。

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