その「安く見せる」テクニック、逆効果かも?

商品やサービスを少しでも安く見せて、お客様にアピールしたい――。経営者なら誰しも一度は考えることではないでしょうか?

ホームページやメニュー表で「税抜き価格」を大きく打ち出し、パッと見の割安感を演出する手法はよく見られます。

しかし、一般のお客様(消費者)をターゲットにするビジネスにおいて、「安く見せるための税抜き表示」は、実はメリットよりもリスクの方が大きくなっているのをご存知でしょうか?

今回は、マーケティングの視点と法律のルールの両面から、お店や会社が選ぶべき「正しい価格表示」について解説します。

1. 「安く見せる」テクニックが逆効果になる理由

人間は最初に目に入った数字を基準に判断するため、「9,800円(税抜)」という表示は一瞬「安い!」と感じさせる効果(アンカリング効果)があります。

アンカリングとは、「第一印象」の効果を利用した価格戦略です。(アンカーとは船をつなぎとめるイカリのこと。)

しかし、最終的な会計時やレジの前で「税込だと10,780円になります」と言われたとき、お客様の脳内にはどのような感情が浮かぶでしょうか?

  • 「思ったより高かったな……」
  • 「なんだか騙されたような気がする」

こうした「最後の最後で感じるガッカリ感」は、お店や会社に対する不信感へとつながります。

特に今の時代、SNSや口コミで「あそこは表示がわかりにくい」「会計が高くなる」と書かれてしまうリスクもあり、目先の数パーセントの安さを演出するために、リピーターや信頼を失うのは非常にもったいないことです。

2. 一般のお客様が相手なら「総額表示(税込)」が法律のルール

感情面だけでなく、法律上のルールも重要です。

一般消費者(個人)を対象にビジネスを行う場合、ホームページやチラシ、メニュー表などには「税込価格(総額表示)」を掲載することが法律(消費税法)で義務付けられています。

以下のような表示は、法律上のルール違反、あるいは不親切な表示とみなされるリスクがあります。

  • 「10,000円(税抜)」のみの表示(税込額がわからない)
  • 「10,000円+税」のみの表示

※なお、BtoB(会社間・事業者間の取引)であれば税抜き表示だけでも違法ではありませんが、ターゲットが一般の個人や個人事業主である場合は、必ず税込価格がパッと見てわかる状態にしなければなりません。

3. お客様に選ばれる「おすすめの表示方法」

では、どのように表示するのがベストなのでしょうか?

最もおすすめなのは、「総額(税込)を主役にしながら、誠実に両方書く」というハイブリッドな方法です。

【おすすめの表記例】

11,000円(税込)

※税抜価格:10,000円

このように、一番大きな数字を「実際に支払う総額(税込)」にしておけば、お客様は安心して買い物ができます。同時に税抜価格も添えておくことで、ビジネス利用のお客様(領収書が必要な事業者など)への配慮も両立できます。

また、あえて「うちは追加料金一切なしのコミコミ価格です!」と明朗会計を前面に押し出すことで、他社との差別化(信頼感の獲得)に成功しているお店も増えています。

📄 まとめ:これからの価格表示は「安さ」より「誠実さ」

インターネットで簡単に価格比較ができる現代だからこそ、お客様が最後に選ぶ基準は「このお店(会社)は信頼できるかどうか」です。

最初からすべてをオープンにし、「手出しの金額」をハッキリ伝える誠実なホームページは、結果として「長く愛されるファン(リピーター)」を増やすことにつながります。

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この記事を書いた人

竹岡良晃税理士。売上アップのパーソナルトレーナー税理士。中小企業の経営問題について、傾聴力を駆使して問題解決をサポートする活動を行っている。

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