接待ゴルフのための練習場（打ちっぱなし）プレー代は経費になるか？→なりません。というのが私の個人的な見解です。なぜ接待ゴルフプレー代は経費になって、その練習代は経費にならないのか？について書きます。繰り返しますが、これは私個人の一般的なケースへの見解であって、ケースによっては経費になるという場合もあり得ますので、詳しくは顧問税理士へ相談してください。
経費になるか？＝交際費に該当するか？
私たち税理士はある支出が経費になるか？をなんとなく判断しているわけではありません。必ず根拠を持って判断しています。何となく感覚で判断していないということです。（残念ながら一部の税理士や税理士資格のない税理士事務所職員は、以下のような根拠を考えずに、何となくで回答している場合が数多く見受けられます。いわゆる「あてはめ」による三段論法で考えていません。）
今回のゴルフ練習場代については、交際費に該当するか？を判断します。
前提として、社長1人がゴルフ練習場で練習した場合とします。
で、交際費というのは措置法に規定されていますので、交際費の条文を確認してみましょう。
･･･交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為（以下この項において「接待等」）のために支出するもの（次に掲げる費用のいずれかに該当するものを除く。）をいい、･･･
･･･はい、相変わらずややこしい文章ですね。交際費かどうか？の判断では上記の条文から、一般的には３つの要件を満たしているか？で判断します。（学説等で4要件判定の場合もあり）
①相手が事業に関係ある人かどうか？
②支払の目的が、事業関係者等との親睦の度を密にして、取引関係の円滑な進行を図ることである
③その行為の形態が接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為であること
どうでしょうか？一つずつ確認していきます。
まず①についてですが、ゴルフ練習場のプレー代（打ちっぱなし場の利用料）は、基本的には社長1人で行きますので、支払の相手は社長本人であり、相手に事業関係者は含まれていません。
次に②ですが、①と同じく、社長1人がひたすらゴルフボールを打つという作業ですので、支払の目的が、直接的には「社長のゴルフが上達するため」であり、事業関係者との親睦や取引関係の円滑な進行とは関係ありません。（社長のゴルフが上手くなれば接待ゴルフがスムーズになり、取引が円滑になる可能性もありますが、あくまでもそれは間接的な影響であり、直接的な支払の目的ではありません。）
そして、③ですが、これも同じです。社長1人ですので、ゴルフ練習という行為が直接接待などに該当する行為とはなりません。
結果として、①②③のいずれの要件も満たしていないため、交際費には該当しない、経費とならないというのが結論です。
ゴルフ練習場利用料は社長の個人的な支出である
では、交際費に該当しないとなると、何の科目に該当するのか？ということですが、結論としては、社長の個人的な支出であり、会社の経費になりません。（他の科目に該当するか？の判断については、数が多いのでここでは省略します）
会社の経費にせずに、社長のポケットマネーから払ってくださいということです。
何でも経費にしたがる社長がいますが、儲けて役員報酬を沢山取って、そのご自身のポケットマネーの中から支払う分については、税務署も顧問税理士も経理担当者も何も言いません。
ゴルフ練習場利用料は絶対に経費にならないのか？
では、ゴルフ練習場のプレー代金は全て経費にならないのか？と言えば、そうとも言い切れません。例えば、ゴルフに関連する会社で、その従業員が通うゴルフ練習場のプレー代金の場合は、福利厚生費に該当するケースも考えられます。（従業員の誰もが通える等々、福利厚生費に該当する要件を満たす必要あり）
また、接待の相手先と一緒に練習しに行くケースもあると思います。打ちっぱなしの間や前後に接待先の相手と仕事の話をする、接待行為をするなど当然あり得ますので、接待交際費に該当する可能性が高いです。
いかがでしたか？「〇〇の支払は経費になりますか？」という質問に対して、税理士はこのような思考回路で判断して回答しています。おそらくこのような判断の手順で説明すれば、ほとんどの納税者は納得するはずです。
もちろん金額の大小や社会通念上などの別の要素が絡む場合もありますが、基本的には、まず条文へのあてはめ、判例や学説などに沿って論理的に判断するというのが基本です。
冒頭にも書きましたが、この事例については私個人の見解ですので、気になる方は、一度ご自身の顧問税理士に「ゴルフ練習場のプレー代は経費になりますか？」と質問してみてください。
経費特に交際費について気になる方は別の「経費になる？ならない？の判断」の記事もご覧になってください。
