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贈与税や相続税がかからないがベストとは限らない

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贈与税や相続税がかからない方法はありますが、その税金がかからない方法がその家族にとってベストな方法か?と言えば、一概にはそうとは言い切れません。

贈与や相続は登場人物が複数人出てきます。しかも家族や親族という非常に近い関係の間柄であり、そこにお金が絡む取引です。

単に税金がゼロになった、税額が下がるから!と安易な考えだけで贈与や相続の話を進めてしまうのは大変危険です。

贈与と相続の違い

財産の移動は①生前の贈与②相続時のどちらかで、一度きりです。

贈与や相続で財産を移動した後で、「やっぱりこっちの方がいい」とやり直すことは、基本的にはできません。(例外でやり直しが認められた裁判例があるようですが、条件はかなり限定的です。)

相続時であれば、相続するタイミングは相続時(亡くなった時点)は選択の余地がありません。どの財産を?という部分も亡くなった時点で保有していた財産の全部です。選択の余地はありません。

あとは誰が相続するか?だけの問題です。

一方で贈与については、贈与するタイミングはいつにするか? 誰に贈与するか? どの財産を贈与するのか? いくら贈与するのか? 選択する項目が数多くあります。

選択する項目が多いということは、それだけ判断することが難しくなります。

手続き的には数多くの財産が移動する相続の方が難しくて、贈与は1つの財産だけが移動するので簡単なイメージがあるかもしれません。

実際には、贈与では財産の移動前に検討する項目が多いので、贈与も決して簡単な話ではありません。

財産の移動は一度きり、元には戻せない

将来の相続税の対策として贈与をおこなった結果、思わぬ落とし穴が待っていたという話が生前贈与では起こります。

たとえば、財産を持っている親と同居している子供がいたとします。子供は親切に親の面倒を見ていました。

親は親切にしてくれる子に対して、生前贈与を実施、自分の財産のほどんどを同居している子に渡しました。

その結果、子は親の面倒を見なくなってしまった。

今まで親切に面倒を見ていたのは財産目当てだったという具体例です。

親子と言えども、お金が絡むと感情も複雑になります。

将来財産を受け取る側(子)は、親の財産を見ていないようで見ています。

贈与後に家族の態度が変わることも十分にあり得ます。

「財産を持っている」というのは一つの武器です。特に高齢者の方は今後自分の財産が増えるケースはほとんどないと思います。財産は減る一方です。

今は健康で自宅で生活していても、数年後にはサポートが必要な生活になる可能性もあります。

高齢者施設の利用料金は決して安くありませんので、そのような施設の利用料金として財産を確保しておくことも必要です。

一次相続、二次相続トータルで考える

一次相続で極端な相続税対策をすると、次の二次相続で多額の相続税が発生するケースがあります。

目先の一次相続だけではなく、二次相続トータルで相続税を考える必要があります。

兄弟間で差が付く贈与は避ける

兄弟間で揉めるケースにも注意が必要です。

相続人に兄弟や姉妹がいる場合は、必ず平等に贈与しないと、後で必ず揉める原因となります。

片方の兄弟にだけ内緒で贈与することは絶対に避けてください。贈与時には問題にならなくても、将来の相続時に内緒で贈与したことが明らかになります。

なぜ明らかになるのか?それは税理士も税務署も亡くなった方の預金の動きは10年は遡って調べるからです。

まとまったお金の動きは必ず相続人に確認しますので、兄弟の片方には内緒で贈与することは避けてください。

税負担だけではなく、家族間の心情も考慮して贈与や相続を検討する

相続時精算課税制度の改正があり、以前よりも生前贈与をしやすくなりました。

ただ、今まで書いてきた通り、税金が下がるということと、家族間の心情の部分は全く別物です。

私も仕事で生前贈与の相談を受けますが、

「基本的には、今すぐ贈与した方がよい明確な理由がない限り、財産は相続時まで動かさない。ただし相続税対策で必要な部分については検討する。」というスタンスです。

ご相談の内容も家族ごとに異なりますし、ご家族間の関係もそれぞれ異なります。中には一般的なセオリーが通らないようなケースもあります。

単に税額が下がるからと安易に財産を移動してしまうのは、後々に大きな問題となってしまう可能性もあります。あらゆることを想定して、慎重に検討してから行動してください。

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