最近住宅ローン金利が上昇していますが、よく「住宅ローン金利が上がって、ローン破綻する人が続出したら大変なので、そうならないように日銀や国も対策するから大丈夫っしょ」というような話をよく聞きます。
このような発言をされる方は、住宅ローン金利が上がったときの状況の解像度が少々ズレていると私は思います。
というのも、ローン破綻(自己破産)するケースというのはごく稀で、大半の方は破綻せずにローン完済します。金利上昇したからといって、今払っている住宅ローンの金額が急に2倍や3倍になるということはありません。
変動金利の場合、返済条件によっても多少異なりますが、1回の利上げで上がる支払額は数千円です。(5年ルールや125%ルールがあったり、元本と利息の割合が変わったりして、厳密には実際の差額とは若干意味合いが違いますが。)
数千円程度であれば、ほとんど家庭では影響はないはずです。本当にカツカツで住宅ローンを組んだ家は論外ですけど。
数千程度であれば、「ちょっと外食の回数減らす」「ちょっと旦那(妻)のおこずかいを減らす」「ちょっと毎月の食費を減らす」で対応できます。
対応できる、というか対応できてしまう、というのが逆に厄介だと思います。
で、この対応が利上げごとに続きます。(5年ルールがあるので、6年目以降・・・ってそもそも6年後に支払額が上がることを覚えている人って、います?普通は忘れますよ。で、6年目になって急に「えっ!今月から急に支払額が増えてる!」ってなりますよ。)
人間って少しずつの変化って対応できてしまうんです。少し前にも書きましたが、急に住宅ローン支払いが2倍3倍になれば、「こりゃいかん!何とかしないと」となりますが、じわじわ数千円の上昇については、茹でガエル状態で、気付けばめっちゃ上がってるやん!という状態になってしまいます。
外食やおこづかい、食費などの削減の次は、貯蓄の切り崩しで対応です。将来の子供の教育資金、家の修繕積立金、老後資金など、対応はできるけど、将来のための大事な資金を取り崩さないといけなくなります。あるいは、専業主婦を望んでいたお母さんがパートへ行かざるを得なくなる、又はパートを掛け持ちするようになると言ったケースもあると思います。
色々と書きましたが、要は金利上昇による支払額の増加により、「住宅を買った時点から、少しずつ生活の質が落ちていく」ということです。
冒頭に書いた「住宅ローン金利が上がって、ローン破綻する人が続出したら大変なので、そうならないように日銀や国も対策するから大丈夫っしょ」と楽観的に考える方々には、この「少しずつ生活の質が落ちていく」という状態がイメージできていないのだと思います。
なので、ありきたりな対策ですが、無理をしてローンを組まない!これに尽きると思います。変動でしか組めない家、フルローンでしか買えない家、は手を出したらアカン家です。
ローン支払額が1~2万円上がったら、たちまち家計簿が赤字になるようでは予算オーバーの家です。
高性能住宅、広い家、地域のブランド・・・気持ちは分かりますけど、私の好きな言葉である「身の丈にあった暮らし」をする方が大事だと思います。