節税目的で決算月に倒産防止共済の前納申込をする方法がありますが、倒産防止共済の前納申込には注意点が幾つかあります。この注意点をよく確認しないと、折角前納申込をしたのに節税の効果が出ない場合もあります。今回は倒産防止共済の前納申込で注意する事項を書こうと思います。
倒産防止共済とは?
倒産防止共済とは、正式名称が中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)といいます。
本来は、取引先の倒産に伴う自社の倒産を防止するための制度ですが、一定の要件を満たせば、掛金を全額損金(経費)とできるため、一般的には節税目的で加入されています。
加入対象者は普通の事業をしている個人商店や会社であれば、加入できます。売掛金が発生しない飲食店などでも加入できます。
契約解約時には、全額が益金(収入)となるため、利益を翌期以降に繰り延べる効果があります。詳細は中小機構のホームページをご覧ください。
倒産防止共済の前納申込期限は初年度と2年目以降で異なる
見出しの通り、倒産防止共済の前納申込期限は初年度と2年目以降で異なります。
この事が一般的にあまり知られていない様に思います。
実際に顧問先が決算月の月初に銀行で「倒産防止共済の初年度前納申込期限が過ぎているので、加入できない。」と言われたことがあったそうです。
(その顧問先は私が事前に説明をしていたので、決算月に無事に初年度の前納手続ができました。)
詳細は後述しますが、初年度の前納申込期限は決算月の20日頃です。決算月の月初時点であれば、まだ間に合います。
倒産防止共済の申込用紙は銀行の窓口でも取り扱っていますが、銀行窓口の担当者は倒産防止共済の制度について、あまり詳しくない様です。
特に前納申込の一連の流れについてはよく知らない場合もあるので、中小機構のフリーダイヤルや各取扱機関、あるいは税理士事務所に確認してください。
初年度と2年目以降の前納申込期限について
以下に倒産防止共済の前納申込期限について書きますが、初年度の決算月に12カ月分の前納、2年目以降も決算月に12カ月分の前納の手続きをするケースとします。
なお、倒産防止共済は原則月払いであるため、12カ月分の前納は例外扱いとなります。そのため、2年目以降も前納するには、毎年前納するための手続きが必要となります。
中小機構側からは何の通知もきませんので、2年目以降も前納をしたい場合は、自ら前納手続をする必要があります。
前納手続きを忘れた場合は、原則の月払いとなりますので、決算間際の節税効果は無くなります。前納を希望する場合は毎年の前納手続を忘れないでください。
また、前年に申請した月額から金額変更したい場合は、併せて掛金月額変更申込書を忘れずに提出してください。
初年度の倒産防止掛金の前納申込期限は「決算月の20日頃まで」です。前納申込書を金融機関や各取扱機関に20日頃までに提出すれば、金融機関や各取扱機関を通じて中小機構にて前納申込手続が処理されます。その後、指定口座への振込案内が届きますので、決算日までに掛金振込をします。
個人事業者や12月決算会社は、初年度であれば、12月15日(12月のみ15日頃まで、通常は20日頃までの場合が多い)頃までに前納申込をすれば、12カ月分の前納が可能です。初年度は決算日の間際でも前納は可能です。
2年目以降の倒産防止共済掛金の前納申込期限は「決算月の前月の20日頃まで」です。前納申込を金融機関や各取扱機関に前月20日頃までに提出、 金融機関や各取扱機関を通じて中小機構にて前納申込手続が処理されます。その後、翌月の決算月の27日に指定口座(初年度に登録済)から前納希望金額が引き落とされます。
上記と同じく、個人事業者や12月決算会社は、2年目以降は11月20日頃までに 前納手続をすれば、12カ月分の前納が可能です。
初年度と2年目以降の前納手続期限の違いは分かりました?
2年目以降は初年度よりも、前納手続の期限が1カ月も早いということです。
初年度と同じ感覚で「決算月間際の手続で間に合う」と思っていると、2年目の前納が決算日までに到来せず、決算明けの翌期1か月目の前納金の引き落としになってしまい、2年目は節税できなかったということにならないように注意が必要です。
申告書への明細添付を忘れずに
倒産防止共済掛金を損金(経費)とするには、申告書に明細を添付する必要があります。個人事業者、法人のどちらも必要となりますので、忘れずに明細添付してください。