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無資格者が作成した決算書申告書は不備だらけ

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税理士法人の勤務時代から、開業後の現在にいたるまでの間、関与前(勤務時代は担当前)が税理士事務所以外の無資格者(いわゆるニセ税理士)が関わっていたというケースが何度かありました。

前年度の決算書申告書の残高を引き継ぐのですが、残念ながらニセ税理士が関与していた決算書申告書というのは、間違いが多いです。税務上の判断や処理がゴッソリと抜けています。

そもそも税務の知識を持っていないのですから当然のことです。ニセ税理士本人はきちんと処理はできていると思っているのかもしれませんが、全然できていません。

今回は無資格者が作成した決算書申告書の不備について、不備内容とその不備による問題点などを書きます。

無資格者とは?

今回の話で出てくる無資格者とは、主に次の通りです。

  • 納税申告者の親族
  • 民商
  • 元税理士事務所職員、現税理士事務所職員
  • 元経理事務
  • 他士業
  • コンサル会社

ざっとこんか感じでしょうか?

いろいろな方がいて、元々持っている知識などによっても多少ばらつきがありますが、冒頭にも書いた通り、税法の知識がほぼ入っていないという方ばかりです。元(現)税理士事務所職員であっても、法人税法や所得税法をきちんと勉強していない場合が多いです。

(現税理士事務所職員というのは、勤務先の担当とは別に小遣い稼ぎで、個人的に記帳代行や決算申告を受けているケースです。もちろん税理士法違反ですし、税理士登録時の申請でバレて最悪登録できない場合もあります。)

届出関係ができていない

特に開業後の手続きを納税者の親族に任せていた場合、この届出関係ができていないケースが多いです。青色申告承認申請書や専従者給与届出など、納税者にとって有利な規定の届出をしていないということが見受けられます。

期中に判明することが多く、適用を受けるために届出を出したとして、その効力は翌年度からなので、今年は有利な規定の適用を受けられません。

また、会社については法人税法の話になりますが、借地権に関する届出が出ていないというケースが多いです。会計の処理は知っていても、この辺りの税法の話は全くしらないというのが無資格者です。後々相続に関して大きな問題に発展する場合もありますので、借地権関係は特に注意が必要です。

個人法人間の処理ができていない

先ほどの借地権の届出に関する部分と関連しますが、適正な地代を設定していない場合があります。適正な地代を払っているか?どうかで相続税の財産評価に大きな影響があります。無資格者は税法、特に資産税(相続税や譲渡所得など)の知識が圧倒的に不足しているように感じます。

税務上の繰延資産に関する処理ができていない

普段の会計処理をしていて、特に注意が必要な個所として、この税務上の繰延資産があります。

会計上は特に規定がないので、税務上も同じ?と考えがちです。特に支払った金額の全額が支払い時の年度の経費とならず、数年間に分けて経費となるので、予測利益や税額予測に大きく影響します。

税法の繰延資産を知らないと、会計で全額経費処理してしまいます。

税務調査で判明した場合は、税額が大幅に増える原因となります。

役員報酬に関する知識がない

これも法人税法を知っているか?で全くことなってくる部分です。定期同額給与の規定を全く知らず、役員賞与を支給して利益を減らしていたというケースがありました。(もちろん申告書で加算調整せず)

減価償却資産の耐用年数が間違っている

減価償却資産の耐用年数が間違っているケースがありました。また減価償却資産の明細を作成していないので、期首簿価の内訳が不明で困ったこともあります。

各数字の整合性が取れていない

手書きで申告書を書いている場合に多い間違いです。

決算書や申告書というのは、いろんな箇所の数字が繋がっているのですが、その繋がりを理解していないと「どことどこが同じ数字になるか?」が分かりません。税務ソフトを使用していれば、多少不足する知識を補えることもありますが。

全体的に精度が悪い決算書申告書

全体的な印象ですが、記載内容の精度が悪いです。決算書内訳書について、その内訳書の詳しい中身が記載内容ではよく分からないことが多いです。「その他」の連発の内訳書もありました。

また、私が聞いた中には仮受金や仮払金の科目が決算書に残っていたケースもあるそうです。(仮受金や仮払金は文字通り仮の科目なので、決算書に記載されていること自体がおかしいです。)

税理士事務所が作成した決算内訳書であれば摘要欄にしっかりと内容が書かれていることが多いです。

期限切れ欠損金ほったらかし

法人税法の欠損金(赤字)は、繰り越せる期間が決まっています。また前年が黒字で今年が赤字の場合は、前年に収めた税額の還付を受けられる規定もありますが、無資格者はこれらの規定の取り扱いを十分にできていません。

欠損金の繰り越せる期間を過ぎると、期限切れ欠損金となり、会社を清算しない限り使えない赤字の繰り越しとなります。で厄介なのが、これとセットになっている多額の役員借入金です。

税理士事務所であれば、この多額の役員借入金のうち返済できそうにない部分については債務免除益(役員側は債権放棄)で処理します。

無資格者はこのような処理をしないので、使えない期限切れ欠損金が多額にあって財務状況が悪い。その上に返済できそうにない役員借入金が多額に残っており、個人側からすると回収見込みのない財産なのに、相続税の財産評価では基本的にその債権額で評価されるという最悪なパターンになっているケースがあります。

無資格者は赤字にしたがる傾向にあります。黒字よりも赤字の方が税務調査となる可能性が下がるからです。年々赤字が増えて、赤字なので資金不足、役員から借入を繰り返してきたのだと思います。

このような決算書申告書では、金融機関から借入をしたくなっても、借りられなかったり、希望する条件で融資を受けられなかったりするリスクがあります。

まとめ

税法の知識を知らないと、「これって税法の○○のことに注意しないといけないな!」という引っ掛かりがありません。税理士でもこの引っ掛かりが有無でヒヤッとした経験をすることはあります。

この引っ掛かりのアンテナは知識であったり、実務で経験を積んでいくしかないのですが、無資格者は前提の税法の知識がなかったり、実務で経験を積むということができません。

最初の方に書いたように届出関係や決算申告書などは、最初からの流れを全て引き継ぎますので、無資格者が作成した間違っている決算申告書を基に、税務データのベースを作成するのは結構大変な作業です。他の税理士先生からも愚痴をよく聞きます。

税理士側も迷惑を被るのはまぁ・・・・として、一番被害を受けているのは納税者ご本人です。

本当であれば受けられていた優遇規定などを長年受けていなかった。

この年に処理をしていなかったので、もう今更どうしようもない。

無資格者に中途半端な処理をされるよりは、税理士の資格をもつ人にきちんと対応してもらうというのが間違いないです。

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