「この支払の会計科目は何ですか?」と聞かれることがあります。一応教科書通りの回答をしますが、最後に何でもいいですよ!とは伝えるようにしています。
教科書通りの会計科目に絶対にしないといけないのか?と言えば、決してそうではありません。
会計科目名は何でも良いです。何ならご自身で作った科目名でもOKです。
ただし、どの科目にするにせよ、管理する税理士側からすると、色々と条件はあると言えばあります。
経理処理自由の原則、ただし・・・
基本的には経理処理自由の原則により、ある程度の自由な科目処理が認められています。
たとえば、振込手数料について、「振込手数料」「支払手数料」「雑費」などのどの科目を使っても良いです。「通信料」でも間違いとまでは言えないかと思います。
「経理処理自由の原則」という会計上の正式な原則があるわけではありません。
会計では選択適用により自由に選択してもよいが、継続性の原則により、ある程度の制約を受けるといったところでしょうか?
選択適用といっても、保険の支払いを仕入の科目で処理した・・・・これはさすがに違います。
また、製造経費と販売管理費は可能な限り区分することが望ましいです。
あとは、消費税の課税区分によって科目を分けるのも良い方法です。課税区分の選択誤りを防ぐことができます。
一旦ある科目を選択したのであれば、基本的には同じ科目を継続して使うということです。
同じ科目を継続して使うことで、前年対比をする際に役立つ情報となります。
ただし、どうしても別の科目で分けたいというのであれば、途中の年度から科目変更しても良いです。
その場合、科目名の変更による影響が大きい場合は、会計情報の注記として記載したり、法人税の概況書や個人の確定申告書の「本年中における特殊事情」に科目変更の内容を記載しておくと、なお良いです。
注意していただきたいのが、あまり沢山の会計科目を使うと処理が複雑になります。バランスが大切です。
何でも雑費!は良くない理由
雑費という科目があります。
雑費というのは、「色々な科目があるが、これらのどの科目にも属さないその他の支払い」という意味です。「その他」という意味合いがあります。
なので、何でもかんでも雑費処理してしまうと、経費の中で雑費の金額が最も多いというような状況になってしまいます。これでは「どんな支払いをしたのか?」が良くわかりません。
特に金額が大きい支払いや良く出てくる内容の支払いについては、その支払い内容を的確に示す会計科目を設定するようにしてください。
せっかく会計処理するので、どうせなら分かりやすい科目を!
会計処理はボリュームも多く、処理も複雑なケースがほとんどです。特に慣れない方が会計処理をする場合、かなりの時間と労力を使います。
せっかく時間と労力を使うのですから、会計処理をして作成した試算表や決算書などを、ぜひ今後の経営に役立てて欲しいです。
そして、経営に役立つような資料を作成するためには、ある程度の規則性をもって会計処理をするというのが大切になってきます。
特定の支払いの動きが経営の指標となるのであれば、ご自身でオリジナルの科目を作るのもアリです!
