TwitterやInstagramなどのSNSを見ていると、税理士資格が無くても仕事できますよ的なコメントをよく見かけます。このようなコメントをしている彼らには少々厳しい言い方になりますが、ライセンス無しでする仕事は大した仕事ではありません。彼らは自分が仕事ができると思い込んでいるだけです。
やや専門的な話になりますが、税理士資格のない人は税金に関する具体的な質問やアドバイスをしてはいけないと税理士法で規定されています。
税理士資格のライセンスを持つことで初めて一人で顧客の税金に関する個別事案に携われるといういう意味では、ライセンスというのは必要最低限、下限を示すものだと思っています。
ライセンスは無いと話にならない。無いと半人前で持てばようやく一人前。
一応の法律的な理屈としては、事務所職員は所長税理士の監督指揮命令下の元で、その都度所長税理士から仕事の指示を受けて業務を遂行し、顧客からの税金に関する質問は随時所長税理士にその回答を確認したうえで顧客に伝えている・・・・ということです。
つまり、顧客からの税金に関する質問や相談は所長税理士の単なる伝言役という役割であって、決して無資格者が所長税理士の指示無しに回答していない・・・・ということにしているので、税理士法には違反していないということです。報告連絡相談が必須です。
厳密に言えば、税理士資格のない無資格職員は税金に関する事務仕事やお客さんとのやり取りは一切できないということです。
ただ現状では、上記のようなやり取りを毎回しているという建前で、多くの税理士事務所では無資格職員であっても担当会社を持ち、申告書などの書類作成をしているのが実情です。この部分については無資格者が実務経験を積むという意味ではやや仕方がないというところもあります。コスト面からも無資格者の職員に申告書を作成させるという事務所もあると思います。
法律上はそうなっているが、現実的ではないというのが、この税理士法の問題でもあります。ですので、この無資格者が実際に税理士資格がないとできない実務をしているという問題を、今すぐに解決するというのは簡単ではないということです。
この辺りまで書けば、冒頭のSNS等で無資格者が「実務できます~」「××税の○○の仕事しました、△△の判断に迷いました」と書いている話がちょっとヤバいというのがご理解いただけたでしょうか?
繰り返しになりますが、税理士資格が無いと税金に関する個別事案の仕事はできませんので、彼らは違法なことをしている旨を堂々とSNSに書いている訳です。ほとんどの書き方がさも自分だけの判断で処理した感じで書いています。「俺(私)はこんな難しい税務の仕事をしてるんだぞ!」みたいな文面です。
表立って無資格が実務してます~と書いたらアカンということです。
以前から何度も書いていますが、資格ライセンスを取った後に堂々と書いたらいいんですよ。私が「1日でも早く税理士資格を取れ」と言っている一つの理由です。
私も受験生時代の無資格時代に所長先生から「君たちはまだ半人前なんだから・・・・」と言われたときはムカっとしていましたが、いざ自分が資格を取ってみると、当時そのように言われるのは当然だなと思います。
私を含めてどんな偉い大先生でも受験生時代の無資格の時期はありましたので、別に資格が無い時期があること自体を否定するわけではありません。私が言いたいのは無資格時代に冒頭で書いたような、さも自分一人で税務の仕事をしているという感覚を持ったらダメだということです。
特に事後報告も無しに勝手に税務処理をしている人もいると思いますが、事故案件となった場合は責任を取るんでしょうか?(無資格者は税賠に加入できません。まぁ実際にはその無資格職員の所属する事務所の所長税理士に責任が及ぶのですが)