「税理士は経営がわかっていない」という話をときどき聞きます。税理士は税金や会計の専門家であって、経営の専門家ではありません。そもそもこの「経営」というのが一体何を指すのか?という疑問がありますが。今回は税理士が経営のアドバイスができるか?について書きます。
税理士に経営のアドバイスはできない
見出しで結論を書いてしまいました。税理士に経営のアドバイスはできません。
冒頭でも書きましたがこの「経営」というワードが一体何を指すのか?は各経営者によって異なると思います。
売上のこと、資金繰りのこと、人事のこと・・・・色々あると思います。
税理士だって、従業員を雇っていれば会社を「経営」しているので、経営のアドバイスができそうな気もしますが、やはり私は相談相手の経営者が求めるアドバイスを税理士が提供することはできないと思っています。
その理由は税理士はあくまでも「税理士事務所の経営」の経験があるだけであって、他の業種の経営の経験は全くないからです。
製造業の会社の経営経験がない税理士が、実際に製造業を経営している社長に対して、製造業の会社の経営のアドバイスなんて出来るはずがないというのが、私の考えです。
税理士がアドバイスできるのは、税務や会計の視点からアドバイスに限定されます。仮に税務や会計以外の経営のことに関してアドバイスしている税理士がいるとしても、それは単なる意見や感想にすぎません。(一部の業界に特化したコンサル業務としてのアドバイスを除きます。)
その会社の経営は社長が一番理解している
税務や会計に関しては、税理士の方が社長よりも知識も経験もあるので、アドバイスできます。
それ以外の経営のことに関しては、税理士よりも社長の方が知識も経験もあります。
自分よりも知識も経験もない相手にアドバイスを求めてもロクな答えは出てきません。
なので、一番怖いのは税理士が知ったかぶりで上からアドバイスするということです。
恐らく、多くの税理士(特に税理士歴が長いベテラン税理士)がこのスタンスで話をしています。
・・・・そりゃ経営者からしたら「この税理士はこの業界のことを知らないくせに、何を知ったかぶりで言っているのか」と思うのは当然のことです。そして、「税理士は経営のことをわかっていない」と思われるのも当然の話です。
私が「税理士は経営がわかっていない」と言われたら?
もし私が「税理士は経営がわかっていない」と言われたら、次のように返事します。
「社長は『税理士は経営がわかっていない』と仰りましたが、社長の考えるその『経営』というのは具体的にどのうようなことを指していますか?詳しく教えてくれませんか?」
単に聞き返しているだけのように見えますが、これはすごく重要なことです。
なぜならその社長が考える「経営」と私が考えている「経営」が異なっている場合(というか100%異なっているはず)、まずそのズレを解消しておかないと、あとの話が全てピント外れになってしまいますので、まず最初にお互いの考えやイメージを同じにしておく必要があります。
色々話を聞けば、この社長が考える経営という言葉の意味がわかってきます。例えば経営=人の問題というのが分かれば、人の問題とは具体的にどんな問題なのか?ということを更に聞いていきます。
私が実施している売上を伸ばすコンサルティングでは、このように質問を繰り返す手法を用いてコンサルします。
税理士側から何かをアドバイスするのではなく、ひたすら質問して聞くというスタンスです。
今までの話を聞いて、少しでも「ちょっと自分の会社やお店のことを聞いて欲しいなぁ」と思われた方は、ぜひ問合せフォームからお問い合わせください。