税務調査専門の税理士(顧問先をほとんど持っていない)以外の税理士が「税務調査に強い」とアピールするのは、同業者として??と思うことがあります。税務調査に強い=税務調査の経験が多いということをアピールしているのだと思いますが、税務調査が多いというのは、一概に良い税理士とは言えないというのが私の意見です。申告書の税額が大きいという他に申告書自体の内容に問題があるからです。
税務調査専門の税理士は国税出身税理士がほとんど
ネットで「税務調査に強い税理士」と検索すると、税務調査に強いとアピールしている税理士の先生方が沢山出てきますが、そのほとんどが国税出身(元税務署勤務等)の税理士です。
過去の税務署勤務時代の仕事が税務調査をする側でしたので、色々とノウハウや経験を持っているということで、「税務調査に強い税理士」をアピールするのは当然だと思います。
あるいは、顧問税理士のいないお店や会社の税務調査を単発で受けているので、税務調査に強くなった税理士の先生もいます。これも納得です。(個人の税務調査対応専門で有名なのは内田敦先生でしょうか?私が個人的に好きな先生で、特に税理士受験生時代は内田先生のブログをよく拝見していました。)
で、今回の話の対象は、このような税理士以外のいわゆる普通の税理士(顧問先からの顧問料報酬を主な売上とする一番オーソドックスな税理士)が「私は税務調査の経験が豊富です。税務調査に強いです。」とアピールしているケースです。
この税務調査の経験が豊富、税務調査の立会件数が多いというのは、一体どのようなことを示しているのでしょうか?
申告書の内容に問題が多い税理士?
冒頭でも書きましたが、税務調査となるケースは主に申告書の税額が大きい場合と、申告書の内容に問題がある(書かれている数字に何らかの疑いが生じている)場合です。
申告書の内容に問題があるといっても、その原因は様々です。
お客さん側が作成した資料がそもそも間違っている。税理士が申告書作成時に計算を間違っている。お客さん側が意図的に資料の一部を税理士に提出していない・・・どこに原因があるにせよ、税理士は税の専門家として善管注意義務を負いますので、申告書の作成者としての責任は重いです。
税務調査が多い税理士、税理士事務所というのは、その税理士自体が何らかの問題を抱えている(顧問している会社自体の問題を含めて)場合が多いです。
税務調査の多い少ないで、その税理士を評価するある一定の目安になると私は思います。
事務所の規模や顧問先の納税額などにより、一概に税務調査の多い少ないを判断することは難しいですが、「ずっと税務調査が続いている」というような趣旨の発言があれば、税務調査の対応が多い税理士と判断してもいいのではないか?と思います。(確かに税務調査が重なる場合もありますが、ずっと続くというのは税務調査が多いと判断しても良いと思います。)
「〇〇税務署からの調査が多い」という発言も気になります。税務署は提出された各申告書表紙の税理士欄を確認しています。やはり過去の税務調査で問題が多かった税理士については、今回の申告書についても、色々と問題が多いのでは?と考えるのが自然です。税務署側に申告書提出前から既にマークされている税理士と言えます。
税務調査は来ないのが一番いい
税務調査は戦と同じです。税務調査になったら仕方ありませんが、税務調査自体が無いのが一番いいのです。
一度でも税務調査に入られた会社やお店の方はよく分かると思います。本当に良いことなんて一つもありませんから。
中には戦い好きの税理士もいるようです。自己紹介で「税務調査が好きで、税務調査では徹底的に戦います」などと書かれている先生(税務調査専門ではない税理士)もいますが、それって本当にお客さんは望んでるの?と思います。(かと言って税務署側の主張を全て飲むのも違うと思いますが。反論すべきときは反論する必要があります。)
冒頭にも書きましたが、税務調査専門税理士以外の税理士が「税務調査の経験が豊富」とアピールしているのは、同じ同業者としてその税理士の仕事自体に何らかの問題があるのでは??と私は思います。
頻繁に税無調査に入れれる税理士と、あまり税務調査に入れれない税理士、あなたはどちらの税理士を選びますか?