「税理士は顧客と付かず離れずの関係を維持すること」と以前に勤務していた税理士事務所所長から教えられました。今回は顧問税理士と顧客との距離感について書きます。
近すぎる関係も良いとは言えない
個人的には税理士と顧客はある程度の距離感を保っていた方がいいと思います。
というのも、やはり税理士としての職業柄、大変厳しい意見を言わなければならないケースもあったりします。そんなときは言葉を慎重に選びつつも、顧客にとって耳の痛くなる意見を述べます。
その結果として顧客との関係性が一時的に悪化したこともありますが、そんなことはどうでも良くて、私は顧客の事業が良くなればいいと思って意見を言っています。私が顧客から嫌われようが、それは大した問題ではありません。
顧客と仲良くなり過ぎると、どうしても厳しい意見が言いづらくなりますので、私は普段から顧客とは、ある一定の距離感を保つようにしています。その距離感というのが冒頭で書いた「付かず離れずの関係」ということです。
VIP待遇顧客を作らない
顧客との距離感に関連する話で、顧問料金をたくさんもらってVIP待遇顧客として仲良くしたらいいのでは?と考えてVIP顧問契約をする税理士事務所もあるようです。
VIP待遇にすれば高額な顧問料を請求できるので、事務所経営も安定するように思えますが、本当はその逆だと思います。
1つの顧問先の顧問料金が、税理士事務所の売上全体を占める割合に対して大きければ大きいほど、その1つの顧問先の顧問料金に依存するかたちになります。
事務所規模を維持しようとすると、結局VIP顧問先の言うことを聞かざるを得なくなります。税理士事務所側の立場がどうしても弱くなってしまいます。顧問先からの無理難題や値下げ要求も受け入れるしかありません。
「取引先数は多ければ多い方がいい」
これは業種業態を問わず、事業をするうえでの鉄則であり、リスク分散は必須です。
税理士事務所も例外ではありません。
税理士事務所ごとに諸事情があってのこととは思いますが、私個人としては、VIP待遇顧客を作るつもりはありません。
「私は大企業の〇〇会社の顧問税理士です」みたいな話を聞いたりしますが、実は単なる下請け税理士の可能性もありますので。