税理士事務所の中には報酬の未収を抱えている事務所もあります。士業でなぜ未収が発生するのか?と思う人がおられると思いますが、特に事務所の規模が大きくなれば、報酬の未収額がある傾向が強くなります。今回は税理士事務所の報酬未収について書きます。
以前に勤務していた中規模事務所の報酬未収の話
私が以前に勤務していた事務所でも報酬の未収がありました。顧問先によってはかなりの金額でまず全額回収ができないケースも沢山ありました。
私が担当する会社の未収(前任者以前からの未収額、私が回収を怠っていた訳ではありません)がなかなか減らないと怒られていました。あるときに私が「未収が溜まるのでもう行かない」と言うと、「それは、お前の判断するところではない」と怒鳴られました。
過去の前任者たちが溜めてきた報酬未収を私が毎月直接訪問して少しずつ回収していました。振込で済むのにわざわざ直接取りに来させてたのは、今思えば完全に嫌がらせでした。
税理士事務所に勤務する人には、このような辛い思いはして欲しくありません。
未収顧問先を切らないのは事務所の売上規模を維持するため
私はきちんと払ってくれている担当先に申し訳ない思いだったのですが、事務所サイドは事務所の売上規模の維持、顧問先件数の維持のために、未収がある顧問先との契約を切らない方針でした。
税理士事務所業界以外の人から見たら、完全に間違った判断をしていると思われますが、悲しいことにこれが税理士業界の現状です。
他の事務所でも未収報酬の顧問先を切らないのは、同じ理由だと思います。
未収の顧問先との契約を切ることで事務所の売上が減ることが怖いのです。特に拡大思考のある税理士事務所は売上が前年比で下がることを嫌います。売上が増えている=事務所が伸びている、発展していると思いたいのです。
未収回収は時間と手間が掛かります。社内の報告も増えるうえに、回収が遅いと怒鳴られます。未収回収は大事な仕事ではありますが、生産性の低い仕事です。未収さえ発生しなければ、そもそもこんな作業はしなくていいわけですから。
未収顧問先を切らないもう一つの理由として、紹介が来る可能性があります。確かに紹介の話が出てくる可能性はありますが、私の経験上、未収のある顧問先が良い会社を紹介してくれる確率は低いです。
類は友を呼ぶで、やはり報酬支払いが遅れたり、支払いが滞る会社からの紹介は、似たような会社を紹介するケースが多いです。
それなら、未収顧問先との契約を切って、その空いた時間をきちんと報酬を払ってくれる顧問先に割り振った方がいいと思います。その方が事務所サービスも向上し、紹介件数も増える可能性が上がります。
お客様は王様、いい王様と悪い王様がいる
この言葉は昔のドラマ「王様のレストラン」の話で出てきた言葉です。お客様は神様ではなくて、王様である。いい王様もいれば、悪い王様もいるというニュアンスのセリフだったと思います。
報酬の未収が発生したら毅然とした態度を取る、支払いが滞りそうならすぐに顧問契約を解除しないのは税理士側の責任だと思います。
何よりきちんと報酬を支払ってれる他の良い顧客に失礼です。
この記事を書いていて、お金と時間にルーズな人とは関わりたくないと改めて思いました。