先日、私自身が操業融資の融資申し込みをしました。顧問先の借入書類については何度も見てきましたが、私自身が借入をするのはこれが初めてです。今回は操業融資について私自身が考えていたことや実際に融資申請で感じたこと書きます。
資金不足が本業の足枷になる
「資金不足が本業の足枷になる」というのは、私自身がこの税理士業界で長年見てきて一番思うところです。「今月の支払どうしよう」「あと借入を○○万円返済しないと」・・・経営者がこのような心配事をすれば、資金繰りのことで頭がいっぱいになります。本来経営者が考えないといけない本業のことを100%の脳の容量で考えられないということです。
また、資金繰りの相談で金融機関へ出向いたり、資金繰り改善のための各種書類作成などに時間と労力を取られます。
そして、資金不足は時として間違った判断をさせる原因にもなります。
どうしても資金不足の状態になると、目の前の仕事を多少条件が悪くても「とにかく仕事を取って売上を上げてお金を稼ごう」という心理になります。そうすると悪条件の仕事の割合が徐々に増えてしまい、利益率が下がります。忙しい割には手許にはお金が残っていない状態に陥ります。
資金不足は野球でいう2ストライクの状態なので、後がありません。焦っているので来た球はとにかく振ってしまいます。ついつい仕事を何でも受けてしまいます。
もちろん、社員を遊ばせるわけにはいきませんので多少の悪条件の仕事も受け入れるケースもありますが、基本的には条件の悪い仕事を受けるのは良くありません。
なぜなら一度条件の悪い仕事を受けると、今後その取引先から受ける仕事はずっと条件が悪いままになってしまうからです。
単価や条件というのは一度決めると、余程のことが無い限りは元に戻せません。
このように資金不足の状態が経営者の判断を大きく狂わせてしまいます。
借入は本業に集中するためにおこなう
先ほどの資金不足による誤った判断をしないために借入を利用し、経営者は本業に集中するというのが私自身の考え方です。
利息はその本業に集中するための手数料、資金不足を防ぐための保証料と考えています。
本業に集中すれば売上が上がり、利益も上がります。利益さえ出れば、その中から返済資金は出せます。
経営者はたくさんの悩みを同時に複数抱えています。そのうちの資金の問題について借入することにより一時的に取り除くというイメージです。
借入は単に資金不足の一時的な解消だけではく、経営者の悩みを取り除く重要なツールだと考えています。
私が操業融資を申請してみた感想
2022年11月1日時点ではまだ申請中ですが、ここからは私が実際に操業融資を申請してみた感想です。
といっても必要書類のコピー以外は金融機関の担当者が私にヒヤリングする形式で書類作成してくれたので、私自身はあまり何も準備していません。ヒヤリングされた内容は事業についての概況や今後の見通しなど一般的な内容ばかりです。私の場合は税理士業という固い業種なので恐らく審査で落とされる可能性はほぼ無い・・・はずです。
私が操業融資の申請をしてみて一番感じたことは「借りたお金をどうやって返済するのか?をきちんと計画できているか?」ということです。
借りたお金は返す、当たり前の話ですが、意外とこのことが抜けている経営者が多いと思います。返すアテ返済財源をどうするのか?毎月いくらなら返せるのか?→いくらまでなら借りて返せるか?ということです。
返済財源を確保するには、利益を出す、利益を出すには先ほども書いた通り、売上を上げるしかありません。
この「売上を上げるために今後どうするのか?」という計画が無いまま借入申請をする経営者がいます。
「その場しのぎで借入すれば、そのうち売上は上がってくるだろう。」という考えは危険です。
操業融資申し込み前というよりも、もっと以前に事業をするか?しないか?ぐらいの時点で売上をこうやって上げていくという計画や準備をしておくのがベストだと感じました。
借入をするのが入り口であれば、毎月の返済は出口です。この出口をどうするのか?を借入時点までに明確にイメージしておく必要があると思います。