少し前からTwitter内で話題となっている税理士損害賠償請求事件があります。住宅ローン控除に関する事件です。結果的には税理士の判断ミスが原因ですが、我々税理士側からすると、顧問先の相手方にもやや問題があるのでは?という事件です。
この事件の詳細は割愛しますが、最終的には税理士が損害賠償を受けたあとに死亡、その税理士の相続人に対して損害賠償を請求し、地裁は相続人に支払義務があるという判断を下した悲しい事件です。(地裁の判決文原文を読んでいないので、いい加減なことは書けませんが、「税理士の税務判断ミスは明らかにも関わらず、なぜ裁判まで進展したのか?」と考えると、相続人の想うところもあったのではないか?と思われます。)
住宅ローンに関する税務は年々複雑になっており、また改正が随時実施されている分野です。ですので、初対面の方から住宅ローンの質問をされても、迂闊に回答できないというのが実情です。
先生によっては「住宅ローンの初年度申告は受付していない」と表明している方も多いです。というぐらいこの住宅ローン関連の税務については、落とし穴が多く、また税額が大きいこともあり、万が一の税理士損害賠償額も高額となるため、リスクが非常に高い分野となっています。(ホントにケースバイケースで税理士が資料や書籍とにらめっこしながらでないとできない内容です)
この悲しい事件、決して自分にとって他人事ではありません。資料からは明らかになっていませんが、時系列やその状況からして、この先生は恐らく自ら命を絶ったのではないかと思います。
当時の事件の経緯を読んでいても、とても責任感のある先生だったという印象です。その責任感が重荷となったのか、終盤で大きな税務判断のミスをしています。当初は正しい税務判断をしていたのが、顧問先とのやり取りの中で、その判断を変えてしまった・・・・どうして判断を変えたのかな?という部分ですが、何とかリカバリーしてという焦りが、判断を誤らせてしまったのでしょうか?・・・メンタルの重要性にも改めて気付かされる事件です。
あとは「たられば」ですが、近くに相談できる同業者がいれば・・・・ということも言えます。お一人で問題を抱え込んで、悪い方向へ行ってしまったのだと思います。税理士も1人の孤独な経営者です。税理士は普段は会社経営者の悩みや相談を聴く立場ですが、税理士自身も何でも相談できる同業者の相手も必要なのでは?と思います。
最後に他の多くの先生も言っていますが、「顧問する相手を選ぶ」というのは非常に重要です。
独立開業している限りは、申告書作成さえできればいい・・・・なんて甘い世界ではない、自分の身は自分で守るしかない厳しい世界だと改めて思いました。