先日普段税理士と関わりのない事業主の方と話す機会がありました。どうやら消費税インボイスについて大きな誤解をしているようでした。説明をして最後は理解してもらえました。
その誤解というのは仕入税額控除の部分がごっそり抜けていたということです。
仕入税額控除とは?
消費税の計算は、簡便的に表すと、
売上110,000円×10/110=10,000①
仕入66,000×10/110=6,000②
①ー②=4,000③ が納付する消費税額です。(本当はもっと複雑ですが)
で、先ほど書いた仕入税額控除の部分というのは②の部分です。今回話をした方は、この②の部分を引かずに①の10,000をそのまま消費税として納付すると思い込んでいたということです。
(2割特例やら~の話はこの②の部分の話です。2割特例を適用すれば、ほとんどのケースがこの②の金額が大きくなり、差引③の納付額が小さくなるので有利という話です。)
自社がインボイス登録しないと消費税負担が増えるのは「売上相手先」である
これも誤解をしている方が多い項目です。
インボイス登録をしないと消費税の負担が増えるのは、売上の相手先です。自分の会社の消費税額が増えるのではありません(インボイス登録=消費税を必ず納めるという部分はまた別の話として)。
自社のインボイス番号がある?ない?の処理をするのは、相手側の話です。繰り返しになりますが、自社にインボイス番号があるかどうかで自社の納付する消費税額に影響はありません。
昨年あたりから取引先のインボイス登録についての確認書が来るのはそのような理由からです。
・・・ということは、自社の消費税額に影響があるのは??・・・・そうです!「仕入先」のインボイス番号の有無です。
インボイス制度スタート後は、自社のインボイス登録さえすればいいという話ではありません。原則計算を適用している会社は、必ず「仕入先」のインボイス登録の有無の確認が必要です。
この記事を書いている令和5年10月19日現在で、すでに全国の会社やお店でこのインボイス番号の有無確認や会計システムへの番号登録などの事務負担が増えています。まだ通常の月次処理の段階でこれだけ負担となっているので、今後の決算や申告の処理では更に事務負担が増えるのは確実です。
今回は仕入税額控除の話とインボイス登録の有無は相手方の納付消費税額に影響する話を簡単に書きました。元々消費税制度は複雑ですが、今回のインボイス制度の導入によって更に複雑になりました。
なかなか一般の方には理解しにくい部分も多いですので、インボイス関係で悩むことが頻発するようであれば、税理士に相談する方が早いし確実だと思います。