2022年も3月に入りましたので、ほとんど税理士事務所では新規の確定申告の依頼を受け付けていません。(中には受け付けている事務所もありますが)今回は税理士事務所が3月に新規確定申告依頼を受けると、どうなるのか?を書こうと思います。
3月に入ったらゴールの目処が着いている状態
これはほとんどの事務所がそうだと思いますが、税理士事務所は3月に入れば、確定申告シーズンの終わりが見えている状態で、目処が立っている状態です。まだ確定申告処理は続くものの、3月15日の期限内に全て終わる見込みが付いています。
ですので、基本的には3月以降の新規の確定申告は受け付けていないという事務所が大半だと思います。
何故新規依頼を受け付けないかと言うと、受け付けつけると3月15日までに終わるか分からないからです。
二箇所給与、年金などの雑所得、医療費還付など、簡単で資料が完全に揃っていれば受け付ける場合もありますが、これらの種類の確定申告は国税庁のホームページからご自身で確定申告書を作成できます。税理士に依頼すると費用も発生するので、ご自身で作成してみて下さい。
仮に3月に新規依頼を受けるとすると、かなりギリギリ
仮に2022年3月1日に確定申告の新規受け付けをしたとします。事業や不動産の申告とします。
初年度は税理士事務所側にもその顧客のデータがないので、取り敢えず預かった資料や初回面談時に聞いた内容を元に申告書を作成していきますが、不足資料が必ず発生します。
私の経験上、新規の確定申告受け付けで資料が完璧に揃っていたという記憶はありません。必ず何かが不足してます。
3月1日から申告期限の3月15日までは二週間ありますが、2022年の場合は間に土日が2回ありますので実質は10日しかありません。
その10日の予定は既に他の顧客の対応する時間として予定が埋まってるので、3月1日の2〜3日後の3月3日、4日に追加資料を受け取れてもすぐに対応できません。
そして、3月5日と6日は土日ですので、納付額が固まるのは翌週3月7日以降になります。
そこから確定申告書の説明などの打ち合わせをしますが、これについても、他の顧客の業務と並行しておこなうので、予定が空いていなければ、打ち合わせが3月10日頃、場合によっては翌週の3月14日(月)になります。
かなりギリギリです。
この具体例のケースでは3月1日に新規顧客との初回打ち合わせ、早めに追加資料を出してくれた場合でも、申告は期限内のギリギリになってしまうという事です。もう少し資料の提出が遅ければ期限内に申告できません。
証明書の再発行に数週間かかる場合は、その時点で期限内申告ができないという事になります。期限内申告と期限後申告では納税額が大きく変わります。ほとんどの各種優遇規定が期限内申告が要件となっているからです。期限後申告ではこれらの優遇規定が使えません。
また、税理士は所得などにもれがないように確認、質問をしながら確定申告書を作成しますが、申告者自身が言わないと税理士側では知り得ない情報もあります。
たまにありますが、この申告前に新たに処理しないといけない事が発覚するケースもあります。期限に余裕があれば対応できますが、申告期限直前なら対応できません。
どんな些細な事でも「こんな事がありましたけど、これって申告が必要ですか?」と事前に税理士に聞いて欲しいです。くれぐれも申告後に言わないで下さい。後の処理が大変複雑になってしまいます。
税理士は同時並行で確定申告業務をしている
どんな仕事でも当てはまる事ですが、税理士事務所も複数の顧客の業務を同時進行でこなしています。特に確定申告シーズンはどうしても業務が重なりがちです。
顧問先が1件しかない税理士事務所であれば、顧客からの資料提出があれば、すぐに取り掛かることができますが、複数の顧客の確定申告業務をしていれば、資料が届いてもすぐに対応できません。
多くの方はこの時期の税理士事務所が忙しいことを理解してくれていますが、中には全く理解していない人も一定数いるのも事実です。
そのような事情を理解していない人は「3月になってからでも期限の3月15日まで2週間もあるやん!今から新規依頼で十分間に合うでしょ!」と考えていると思います。
もちろん、税理士事務所側も早く対応できる体制を整える努力は必要ですが、税理士事務所側には税理士事務所側の事情があることを考慮して欲しいのです。
税理士の仕事は顧客からの資料提出がないと、何もできません。ぜひ資料提出は早めにお願いします。